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アクエリアス

総合:
(5点満点中3.71点)
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梟のいる舞台

採点:
(5点満点中4点)

投稿日時:2012/02/14 22:49:59 投稿者:玉吉さん

役立ち度:15

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玉吉さん

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平均 平均

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  • ・ファンタジー
  • ・不気味
  • ・恐怖
  • ・セクシー

オールドファンのツボを
グッ!と突くシブめの名作を
デジタルリマスター&豪華特典で
甦らせるマニア特選レーベル、
SPO社ホラーマニアックスが
またまた!やってくれました。

今回のお目見えは『アクエリアス』。

986年の製作。
イタリアン・ホラー最後のマエストロ、
ミケーレ・ソアヴィの鮮烈なデビュー作。


街外れの古ぼけた劇場。
来る本番に向け稽古を重ねる
若い劇団員たちの姿があった。
舞台のタイトルは"Night of OWL"。
「フクロウの夜」

主役のアリシアは稽古中に足を痛め、
近くの病院に駆け込むが
そこはなんと「精神病院」であった。
とりあえず手当ては受けられたものの、
ある一室−鉄格子の向こうに
ぼんやりと横たわる一人の患者が
気に掛かって仕方がなく。

「あの人は誰?」

知らないのかい?
 あのアーヴィング・ウォレスを−」
元は才気溢れる優秀な役者であったが、
醜い色恋沙汰や役の取り合い。
演出家やプロデューサーとの確執。
厳しい演劇の世界の中で
やがて心を病み、
遂には16人もの団員を惨殺して
しまったという哀れな男。

「そうだったの…」
なにか捨て置けぬものを感じながら、
病院を後にするアリシア。

果たして。舞台に戻ってきたのは
アリシアだけではなかった。

俺は帰ってきた。
俺のストーリー。俺のスポットライト。
俺の舞台。
そう、
俺は血に飢えた闇の魔王−!


ミケーレ・ソアヴィは1957年生まれ。
栄養失調のジェームズ・ディーン(自称)
と云ったルックスを活かし、
俳優としてキャリアをスタート。
・脳味噌ワシ掴みにされ死ぬ男(『地獄の門』)
犬に食われる美女のボンクラ彼氏(『シャドー』)
・アッサリおっ死ぬ謎の鉄仮面男(『デモンズ』)
といった微妙な役柄をこなす傍ら
ダリオ・アルジェント、ルチオ・フルチ等
名だたる巨匠の下で映画作りを学び、
遂にはイタリア・クズ映画の総元締
ジョー・ダマトの肝煎りで
この映画を撮るチャンスを得た。

よく「ダリオ・アルジェントの愛弟子」的な
フレコミで紹介されがちだったけども、
その作風は偉大なる師匠に
一見類するようでかなり異質。

シュールな画や破綻上等のブットビ展開で
脳ミソガクガクのトリップ感覚を引き起こす
アルジェントの「変態芸術」に対し、
ソアヴィの映画は
ノーマル至極の「耽美ホラー」。

その画は理屈抜きに詩的で美しく、
物語は一切の綻びもなく
ただ直情的にそのスリルを追う。

破綻、矛盾、ミスマッチ、一切ナシ。
意味不明というかテキトーというか、
「なんだか分かんないけどスゲえ!!」
そんな天才テイストはここにはない。

精神病院から脱走した殺人鬼が
次々に若者を血祭りに上げるプロットは
『ハロウィン』をベースとしたものだし、
その凶器もイタリア伝統の
「血塗られたナイフ」よりは
オノやチェンソー等、当時隆盛を誇った
アメリカン・スラッシャー寄り。

ただだからと言って、
これがいかにもアメリカナイズされた、
没個性でコマーシャルなB級映画かと
問えば決してそうではない。

ある意味「優等生的」で「お上品」な
作りの中にも、
儚げな「ロマン」を仕込んで来るのが
ソアヴィ作品の大きなポイント。

ひらひらと羽毛が舞い散る中。
思い思いに死体が並べられた
ステージを眺め渡し、
一人悦に入る一匹のフクロウ。

彼はなぜ狂ったのか。
なにを夢見ていたのか。

当時30歳。
役者として身を起こし、
希望に燃えていた若き巨匠の思いが
そこには色濃く投じられているようにも
感じられた。


長らくDVDが絶版になっており、
再リリースが望まれていた本作。
自分もVHSでしか観たことが無かったので、
今回のHDリマスターは感慨至極。
思ったよりも画質が良くなかったけど、
(マスター自体の限界か)
それでもソアヴィの異彩が
十分に堪能できるバージョンでありました。

SPOさん。
これで『デモンズ3』〜『’95』を出さないのは
片手落ちというものでしょう。
是非とも引き続いてのリリース
(出来ればひと月おきぐらいで…)
をお願いしたい!

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