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子供の頃、ジョーのアニメに心を揺さぶられ、原作コミックス全20巻をいまだに所有し…私にとって、ジョーは永遠のヒーロー。
実写化のニュースを聞いた時、イメージを壊されないかなぁという不安あり、ちょっとだけ楽しみでもあり…。 ハンパなものは作って欲しくない、と思う反面、実際に動いて、しゃべって、リングで汗を飛び散らせる生身のジョーも見てみたい、という期待もありました。
まず率直な感想としては…期待以上によかったです! 上映期間中にもう一度くらい見に行きたい、と思ったくらい。
まず、映像がかなりいい感じでしたね。 ドヤ街の、何となく埃っぽくて、空気がゆらゆらとした感じ。 ものの輪郭がはっきりしないような感じ。 そんな雰囲気に、すぅーっと引き込まれました。
約2時間という枠組みの中で、全てを描けないのはわかります。 たとえば、段平がジョーという逸材に出会って、体が震えるほどの感動を覚えるところ、ジョーが力石との出会いによってボクシングに目覚めるところ…そのあたりはもっとしっかり描いてほしい、という感じもありましたね。 でも、だんだん、足りない部分は自分の頭の中で、自然に埋めながら、ジョーの世界に浸りだしている自分がいて。
脚本としても、山下くんとしても、ちょっと“クールな”ジョーですね。 原作のジョーって、意外と明るさやユーモア精神があったりするので、キャラクターの違いに、少々違和感も感じました。 しかし見ているうちに山下くんのジョーも、これはこれでありかな、と思えました。 力石との試合、最終ラウンド直前に段平に語りかけるシーンはよかったですね。
伊勢谷さん=力石のキャスティングは、絶妙でしたね。 原作のイメージを一番踏襲していたと思います。 本当の力石徹がそこにいるような…。 減量シーンも、鬼気迫るものがありました。
葉子の原作にはない「過去」。 最初は「どうして?」って感じで、しっくりこなかったのですが、見終わってなるほど、と思いました。 原作では葉子とジョーはもっと複雑な関わり方をするのですが、時間の制限もあるでしょうし…。 葉子を一気に物語の世界に引っ張り込む為の、追加されたエピソードだったのかな、と想像しました。
香里奈さんは、葉子役と聞いたときちょっとイメージが違う気がして不安でした。 しかし、ちょっとタンタンとした演技が、思ったよりもハマっていたなぁ、と。 前時代風のファッションも、なかなかよかったです。
あー、丹下ジムのセットなども、現実はさもありなん、という感じで、よかったですね。 全体的に暗い感じと、そこに差し込む光と。
ジョーの衣装なども、原作に忠実に作っている感じで、ファンとしては感激です。 赤い帽子、赤いシャツ…ジョーはこうでなくっちゃ。 ベージュのズボンの丈が短いのが、妙にいいですね。 (ジョーの髪型は、さすがに原作と違いましたが…)
それから、ジョーの胸元がVに切り替えのあるトレーニングシャツ。 あの衣装も、原作ファンにとっては涙モノ。 よくぞ、着てくれました!という感じ。
試合のシーンも迫力あり…。 実写ならではの、汗や血にまみれる感じあり…。 パンチを受ける顔が、グニャ、ってかんじで激しくゆがむのも(普通ならアップにできないような顔)リアリティがあり、じっと見入ってしまいました。
ちょっと残念だったのが、試合後のリング上で、ジョーが力石に歩み寄って話しかけるところ。 あのシーンだけ、なぜかジョーも力石もいきなり正常モードに戻ってしまった印象…。 死闘の後、という感じが薄れてしまったように思いました。
ウルフ金串のあの奇妙な雄叫びも、なかなかおもしろい演出でした。 ウルフも原作では、けっこう個性あるキャラクターですが、映画ではなかなかそこまで描ききれないですよね。 あの雄叫びでウルフなりの闘志、屈折などを端的に表現しているのかな、と感じました。
さて、香川さんは、確かにうまいんですよ。 本当に大活躍の俳優さんで、見ていて安心があるんですが…。 しかし今回はどうも「いつもの香川さんの達者な演技」でとどまってしまい、今ひとつ突き抜けるものが感じられなかったのですが。 段平の強烈なキャラクター、っていうものが今一つ見えてこなかった気がします。
原作がいくら素晴らしいものでも、かならず原作通りに作って欲しい、とは思いません。 でも、原作から何かを変えるなら、もっといいもの、または、原作とは違ったよさのあるものを作って欲しい。 …と、視聴者としては、勝手なことを思うわけです。
原作もアニメも(あおい輝彦さん、最高!)大好きですが、この映画も、また一つの新しいジョーの世界を作り上げていると感じられました。
※しかし…豚さんの脱走シーンは、さすがに無かったですね(^^ゞ
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