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第9地区

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第9地区

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命の重みは外見の可愛さで決まる件

採点:
(5点満点中5点)

投稿日時:2010/08/15 01:46:51 投稿者:エンタメ至上主義さん

役立ち度:732

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エンタメ至上主義さん

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平均 平均

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  • ・楽しい
  • ・ファンタジー
  • ・パニック
  • ・知的
  • ・切ない

「すべての生きとし生けるものはみな平等だ」
・・なんて寝言、誰が言ったのだろうか?

映画『ザ・コーヴ』は「可愛いイルカを殺すな」と主張した。
「じゃあ、可愛くない動物は殺していいのか?」と反抗したくなったが、
別にあいつらじゃなくても世間全体が普通に可愛い動物とそうでない動物を差別する。

愛くるしいチワワを蹴り飛ばしたらワイドショーあたりで非難轟々になりそうだが、
薄汚れた雑種が何千匹保健所で殺されようが気にも留められない。
亀の甲羅に落書きした奴がいるとニュースになっていたが、
マムシを殺してアルコール漬けにしたところで誰も問題視しない。
昆虫になると採集して標本にする対象だし、
ゴキブリなんかは生かしておく方が罪になる。
肉眼では姿形が見えない微生物に至っては、
殺したか殺してないかすら話題にはならない。

命の重みは、人間から見てどのくらい親しみを感じるかで決めているのだ。

   *    *    *

『第9地区』がこれまでのエイリアン映画と比べて壮絶に斬新なのは、
宇宙人を人類と同一線上に並べて社会派映画のような設定になっていることだ。
従来のSF映画ではエイリアンといえば、征服されるか、撃退に成功するか、
はたまた友好的な関係を築くかという対象であって、
まさか、人種差別して虐待するなんて発想はありえなかった。
エイリアン保護運動のデモを挿入したりする変なリアルさが愉快だ。

でもこのエビ星人、見た目がグロテスクでかわいくないから保護運動は盛り上がらない。
これがもし、パンダ星人やイルカ星人ならばもっと運動は広まるんだろうな。
ケッ!

「ポップコーンみたいにはじけてるぞ。パーン、パーン!」と
面白がりながら宇宙人の子供たち(卵)を燃やす主人公。
俺にもパワーが欲しいと宇宙人の腕を切って食らうギャングの親分。
「これだからこの仕事はたまらねえぜ」と宇宙人殺しを楽しむ傭兵。
私利私欲のために宇宙人を残虐な人体実験に使う国際機関。

これだけ弱者に対する残虐非道な行為が次々と映し出されたら、
観客の側には犠牲者のエビ星人に対して同情心が沸くはずなのだが。
ところがそんな感情移入は起こらない。
なぜなら、エビ星人たちの外見がグロテスクで可愛くないからだ。
「可哀想」ではなく、「ゲッ!気持ち悪い」という反応になる。

この映画はアイディアやアクションが楽しいエンタメとしても一流だが、
そういう人々の潜在的な差別意識を浮き彫りにしてしまう点が面白い。

   *    *    *

最近の映画は昔と違って単純な勧善懲悪ではないものばかりなので、
「正義っていったい何だろう?」と訳分からなくなることが多いが、
実は簡単。
こっそり教えてやるから、誰にも言うなよ。
みんなうすうす気づいていても誰も口にはしないが、
実は正義とは、感情的な「好き嫌い」のことだ。
「好きか嫌いか」
つまり個人の好みの問題。

好みは十人十色。
人の数だけ好みがある。
ゆえに正義も人の数だけ正義がある。

犬が好きな人は犬を大切にするのが正義だし、
イルカが好きな人はイルカを保護するのが正義。
シーシェパードは日本の漁民よりイルカが好き。
それだけのこと。

好みが食い違うと正義の主張も食い違う。
主張が衝突したときは争って勝った方が正義になる。
「正義が勝つ」のではなく「勝った方が正義」。

決着のつけ方は、多数決だったり、論争戦だったり、法廷だったり、
しまいには武力による戦争だったり、色々ある。
勝敗が決まったら、勝者を正義、敗者を悪と呼ぶ。

「1人殺せば殺人者100人殺せば英雄」という言葉もやはり勝つか負けるかが問題。
大量に人を殺しさえすれば、いつでも英雄になるわけではない。
最終的に負けてしまえば極悪人とされる。
ヒトラーだ。
大量虐殺をした結果、戦いに勝ったら正義になる。
アメリカだ。

というわけで、
何が正義かわからなくなった時は思い出すのじゃ。

 個人にとっての正義=好み
 社会にとっての正義=勝者

この単純明快で嫌らしい真実をさわやかに認めてしまえば
長い眠りから目覚めたように実にすっきりとすべてが説明できる。

でも人には言うなよ。
こっそりとだ。こっそりと覚えとけ。
世間は真実が嫌いだからな。

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