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クヒオ大佐

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クヒオ大佐

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クヒオ大佐の愛される理由

採点:
(5点満点中4点)

投稿日時:2009/10/19 18:06:00 投稿者:ryochan10tetukoさん

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作風が好みだった事もあるが、非常に面白い作品だった。傍から見れば騙されるとは到底思えないインチキなアメリカ人として登場するクヒオ大佐(実在の人物)だが、この作品の描かれ方を見る限り、クヒオが愛される理由に何か納得がいった。女性側の気持ちに立てない私では説明が難しいが、何故か腑に落ちてしまったのだ。


※ちなみにクヒオ大佐は実在した結婚詐欺師だが、原作となった小説は創作のため、クヒオの人物像も創作と云う事になる。よって実際にクヒオに騙された女性の気持ちが理解できたのではなく、創作によって生み出されたクヒオに抱いた印象という事になる。


クヒオ大佐はどう見ても現実離れした風貌をしているのだが、この作品の作風は至って現実的描き方をしている。そのためクヒオの異質感はより際立つのだが、それが却ってクヒオの魅力を惹きだす事となる。現実の生活に疲れ、失望し、見下している女性たちにとって、現実離れしたクヒオは辛い現実を忘れさせてくれる存在として、ツマラナイ現実を楽しませてくれる存在として輝き放つ。

また幼少期のトラウマから人との関係性を上手く築く事ができないクヒオは、世間的に見れば結婚詐欺師として女性を口説き、お金を頂くその手口も、ごく当たり前に相手の事を思ってした行為だと言い放ってしまう。つまりクヒオにとって結婚詐欺=女性と付き合う事であり、騙す(つもりもないと云える)相手も、クヒオにとって本気で好きになった人になる場合が多い。これはあくまでクヒオの感覚であり言い分だが。

だから結果的には女性側が騙されたというカタチになったとしても、疑う気持ちより相手を信頼する気持ちが上回り、騙されて恨む気持ちより”何故なのか?”という疑問が浮かび上がる。だがそれは通常恋人が恋人に対して抱く感情であって、本来詐欺師であるクヒオに抱く筈の無い感情なのだが、クヒオの本気の(かなり捻くれた)愛情表現がどうにも憎めなさを抱かせてしまうのだろう。

何故騙されるのか?”をハッキリさせる事は難しいが、愛してしまった人なのだから滅多疑う事などしないという、意外にシンプルな理由かもしれないとこの作品のクヒオを見て思った。しかもクヒオは騙そうとしていない気持ちがある(妄想癖が強いとも云う)分余計にそう感じるのかもしれない。



今回の「クヒオ大佐」は出演者のキャスティングが素晴らしのも見所だ。何んとも憎み切れないクヒオを演じた堺雅人は今までとは違う印象で好演し、松雪泰子の幸薄さ加減は実に見事だ。それと意外に思われるだろうがアンジャッシュ児嶋が相当に上手い。「トウキョウソナタ」でも上手いと思った(映画初出演だそうで)が、今回の出演で確信した。彼は今後映画出演が増えていくと思う。お笑いとしてどうかは抜きにして。

そして何といっても「愛のむきだし」などで絶好調の満島ひかりが最高だった(かなり個人的にヒイキ目で)。ここ最近は感情むき出しの役が多かったが、今回は自然な振る舞いがホントに自然に演じていてやっぱり素晴らしい。特に同僚役で出演していた安藤サクラ(「愛のむきだし」で共演)との掛け合いが面白く、日常見る中では最高の漫才を披露する。普段あまり上手く感じない安藤サクラも、いつもより自然な演技を魅せてくれる。

それとこの作品に登場する全ての人たちに生きている実感をヒシヒシと感じる。もちろん懸命であったり、不器用だったり、適当だったり、要領がよかったりと人それぞれだが、彼らは紛れもなく自分なりに一生懸命生きている訳で、だからこそドラマが面白くなる。当たり前と思われるかもしれないが、最近それを感じさせない作品が多い。特に人を描く事のできない演出家によって造られている日本映画では。

だからこの「クヒオ大佐」は、現在大量生産されている邦画が好きな人には面白くない作品かもしれない。面白いと言っても別に爆笑などしないし、演出は淡々として判り易くメリハリなどは無いからだ。それでも私には非常に面白い作品だったし、とても好きな作品になった。私の感性が少数派なのは自覚しているので「誰が観ても面白いぞ!」とは云えないが、それでも心から楽しめた作品であった事に間違いはない。

私にとってはね。

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