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解説・あらすじ

アカルイミライ

総合:
(5点満点中3.65点)
3.65

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原題: BRIGHT FUTURE

製作年度: 2002年

別題: −

製作国・地域: 日本   上映時間: 115分

allcinema ONLINE(外部リンク)

解説:  仁村雄二は、同じおしぼり工場で働く同僚・有田守と公私ともに淡々とした日常を過ごしている。雄二は他人と上手く渡り合えず無鉄砲な性格。そんな彼を見兼ねた守はある日、彼ら2人だけしか分からない2つのサインを提案し、それを徹底させようとする。その頃から雄二は守が飼っている猛毒の“アカクラゲ”に興味を示すようになった。ある時、守はそのクラゲを雄二に託して突然姿を消す。守は工場の社長夫妻殺害の容疑者として収監されていた。以来、雄二は戸惑いながらも、何かに取り憑かれたようにクラゲの世話を始めるのだが…。(allcinema ONLINE)

映画レポート

「アカルイミライ」─世界はもはや禁欲主義で立ち向かえるほど単純ではない
「アカルイミライ」─世界はもはや禁欲主義で立ち向かえるほど単純ではない
雄二と守は東京のオシボリ工場で働きながら無気力に、だけどいつ引火するとも知れない暴力的な衝動を抱えながら生きている。その暴力は、彼らに説教をたれる全共闘オヤジ=工場長に対してやがて行使されるだろう。
その少し前、2人が工場長の家族と共に囲む夕食の団欒に鈍い衝撃を受ける。なんて苛立たしく、寒々とした光景なんだろう! でも、僕たちの“アカルイミライ”は、このお寒いコミュニケーションの不毛を出発点とする他ないし、いつもなにかにイラつき、暴発の機会をうかがう雄二(オダギリジョー)は、いわば“ダーティ・ハリー”なのだ。

われらがハリー・キャラハンは、44マグナムの代わりに、ゲームセンターのショボい銃を黙々と乱射している。苛立たしい……だけど本物の44マグナムから徹底して遠ざけられた贋物の平和=世界こそが、僕たちの享受する(ある意味とても幸福な)「現実」である。

90年代半ば以降、黒沢清によって採用されてきた禁欲主義的な手法が、この映画において放棄され、ついに封印が解かれる。この世界はもはや禁欲主義で立ち向かえるほど単純ではない。黒沢清はそうした不機嫌な認識を、ずっと不機嫌さに蝕まれたオダギリの身体を通して僕たちに示し、敢然と毒クラゲを野に放つ。世紀末的な倦怠や頽廃のゲームは終わりにしよう……。白々とした“アカルイミライ”がおぼろげに僕たちの視界を覆い始める。

(北小路隆志)

1月18日より、シネ・アミューズにてロードショー

[eiga.com/1月15日](eiga.com)

[2003年01月15日 更新]

「アカルイミライ」典型的な黒沢作品の味に加え、むき出しの感情に新鮮味も
「アカルイミライ」典型的な黒沢作品の味に加え、むき出しの感情に新鮮味も
 不安定な心を抱えた青年。彼が兄のように慕う謎めいた男。所在なげな父親。水槽の中の危険な生きもの。黒沢清版『ランブルフィッシュ』になるんじゃないか。そんな見立てで見に行った。実際、そう思えなくもない。だが、製作過程を追ったドキュメンタリー『曖昧な未来、黒沢清』で、黒沢本人はまったく違う映画のタイトルを挙げていた。いつもこうだ。監督の狙いから外れたところで、私は勝手に映画に夢中になる。 『アカルイミライ』は、誤解についての物語でもある。相手を理解しようとする者、わかっちゃいないと苦笑する者、理解しあうことなどハナから頭にない者が交錯していく様は、われわれの生きている現実そのものだ。
 映画というものは、しばしば観客に神の視線でものを見ている錯覚を与えるが、説明を徹底的に回避する本作では、観客は登場人物たちとともに途方に暮れることになる。揺れるクラゲと相性抜群のパシフィック231の音楽や北村道子の独創的な衣装、ときどきホームビデオのように見える映像が、ありふれた東京の街のなかに写実的ではない不可解な世界をつくり出していく。オダギリジョーは典型的な黒沢作品の主人公だ。敵か味方かも定かではない人物と密な関係を築き、やがて別世界へ行く。だが、憎しみはともかく、ここまで愛情むき出しの人間は現れたことがなかっただけに、非常に新鮮に映る。「夢で未来が見える」というオダギリが、見たばかりの夢を藤竜也に聞かせるシーンにしびれた。あれはまさに誤解の実況中継だ。(冨永由紀)
(PREMIERE)

[2002年12月26日 更新]

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