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ハウルの動く城

総合:
(5点満点中3.81点)
3.81

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原題: HOWL'S MOVING CASTLE

製作年度: 2004年

別題: −

製作国・地域: 日本   上映時間: 119分

allcinema ONLINE(外部リンク)

解説: ダイアナ・ウィン・ジョーンズの著書「魔法使いハウルと火の悪魔」を基に、少女と魔法使いの恋をとおして、生きる楽しさや愛する歓びを描いた宮崎駿監督最新作。呪いをかけられ90歳の老婆の姿になってしまった18歳の少女ソフィーに倍賞千恵子、動く城の持ち主で魔法使いのハウルに木村拓哉、そしてソフィーに魔法をかける荒地の魔女に美輪明宏と豪華なキャストが声で参加。『千と千尋の神隠し』で「いつも何度でも」を歌い上げた木村弓の楽曲「世界の約束」を、映画主題歌として倍賞千恵子が歌う。シネマトゥデイ(外部リンク)

あらすじ: 父親の帽子店で日々、帽子を作りつづけていた18歳のソフィーは、ある日、荒地の魔女に呪いをかけられ90歳の老婆になってしまった。ソフィーはハンサムだが弱虫な魔法使いハウルと出会い、奇妙な共同生活を始める。シネマトゥデイ(外部リンク)

映画レポート

「ハウルの動く城」ありのままの自分を受け入れ、輝き始めた少女を見つめる柔和な視線には老境さえ感じた
「ハウルの動く城」ありのままの自分を受け入れ、輝き始めた少女を見つめる柔和な視線には老境さえ感じた
 「全世界注目の感動超大作」は、愛すべき小品だった。恋に魔法に戦闘も加わり、ぬくもりあるメカも、心地よい飛翔も盛り込まれ、画としてのスケール感に欠けるわけではないのだが、演出タッチが淡白なのだ。仮に『もののけ姫』を油絵、『千と千尋の神隠し』を水彩画とすれば、『ハウルの動く城』は鉛筆画とさえ言いたいほどである。  白い霧の切れ間から、鈍く光る鉄の塊の城が静かに現れ、青空と草原をバックに移動していく。雲と霧は、煙突と汽車の煙へ変わり、牧歌的な風景が文明に侵食されつつあった19世紀末のヨーロッパをたちどころに表す見事な幕開け。主人公ソフィーの登場に息をのんだ。部屋の隅の机に向かい淡々と帽子作りを続ける。美貌の持ち主でもなく、長女の宿命を負った悲しみに満ちた後ろ姿。小窓から外を見やる。それが彼女にとって世界のすべてであるといった描写。この何げない静的場面からファンタジーは作動する。誰もが人生の主役であるかのように煽られる時代に、身の丈以上の幸福を求めて押し潰されそうになっている者たちのための「救い」の物語だ。  オズもアリスも千尋も異空間へ迷い込むことで、あらかじめ世の中を見た。18歳のソフィーは別世界へと落ちてはいかず、90歳の老婆に姿を変えられることで心の殻が破れ、世の中の見え方に変化が生じる。容姿や夢に見切りをつけた彼女に、本来の生命力が甦り、自分に魔法をかけた魔女とも渡り合う。あらゆる世界を行き来できる魅力的な青年ハウルにも物おじせず、実は彼が虚無的で憶病者であることも看破して、やがて屈折した者たちと疑似家族を形成していく過程は感動的だ。  原作では直接描かれない「戦争」を宮崎は意図的に加えている。冒頭から不穏な空気を醸成し、現代の映し鏡であることを示唆するが、これまでに比してエンターテインメントとしての悲壮感や高揚感は減衰した。状況にNOを突きつけてきた鋭さがない。したたかな娯楽を求めた時代の『ルパン』、終末の予感としての『ナウシカ』、日本を問い直した『もののけ』や『千尋』。同時代の気分とつながってきたアニメ作家から、ぎとぎとした灰汁が抜け、少女への視線が柔和になった。ソフィーは腰の曲がった老婆でありながら、生きる力がみなぎれば中年女性に、愛を意識すると少女の顔へメタモルフォーゼする。宮崎の内的な若さと老いが交錯するかのよう。これは、少女に生きる知恵を諭しつつ、老境を吐露する、『紅の豚』以来のプライベート・フィルムかもしれない。(清水節) (PREMIERE)

[2004年11月30日 更新]

「ハウルの動く城」美しき妄想力と老人力があふれる宮崎駿の“アフター9・11”
「ハウルの動く城」美しき妄想力と老人力があふれる宮崎駿の“アフター9・11”
 映画は気力と体力と妄想力である。特に妄想力。この力で映画の面白さは決まる。宮崎駿は大いなる妄想力の持ち主だ。その最たるものが妄想力全開の「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」である。が、2作品とも妄想力に比例にしてメッセージ性も強くなっていて、少々、居心地の悪いものがあった。「ハウル〜」も正直、不安はあった。また説教されるんじゃないか!? でもそれは杞憂に終わった。  「ハウル〜」はたまらなくキュートでつつましくて、それでいて生命力にあふれた物語だった。そう、これは宮崎版「オズの魔法使い」なのだ。90歳の老婆に変えられた少女も本当は臆病な魔法使いも火の小悪魔もカブ頭のカカシも、みな本当の自分を、自分の居場所を探している。彼らは動く城に集い、小さな家族をつくる。それぞれの魔法を解くのはかけがえのない人からのキスとぬくもり。「おうちがいちばん」とドロシーはいったが、ハウルの城の住人たちはこういうだろう。「家族がいちばん」。  宮崎の立ち位置はいつもよりずっと後ろにある。「戦争」を背景に描きながらも、前に出過ぎず、メッセージを叫ばず。けれども物語のなんと豊かで多弁なことか。宮崎の“アフター9・11”には美しき妄想力と老人力があふれている。 (三留まゆみ) 11月20日より、日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー [eiga.com/11月17日](eiga.com)

[2004年11月17日 更新]

受賞した映画賞

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